← 研究室TOPへもどる

研究テーマ紹介
— 主な研究分野のご紹介 —

私たちは、「人とAI(人工知能)が互いに理解し合い、ともに支え合って生きる社会の実現」を目指し、機械学習(Machine Learning) や 確率モデル(Stochastic Model) に関する先端的な研究を行っています。

AIやロボットを活用して高齢者の健康維持や介護予防を支えるシステムから、日常の生活データから心身の不調を事前に予測する技術、さらにはAIが人間のように高度で信頼性の高い判断を下すための数学的モデルまで、基礎から応用まで幅広い研究に取り組んでいます。


💡 基礎知識:研究を読み解くキーワード

私たちの研究を解き明かすために、よく登場する4つの重要キーワードを解説します。

1. 強化学習(Reinforcement Learning: RL)
AI(エージェント)が「試行錯誤」を通じて、自ら賢い行動手順(方策)を身につける仕組みです。AIが望ましい行動をとったときに「ごほうび(報酬)」を与えることで、AIは「どう行動すれば最も多くのごほうびをもらえるか」を自発的に学習していきます。ロボットの操作や対話AIの話題選びなどに幅広く応用されています。
2. ベイジアンネット(Bayesian Network: BN)
現実世界の複雑で不確実な出来事の「因果関係(きっかけと結果)」や「確率的なつながり」を、点(ノード)と矢印(リンク)で結んだ網目状のネットワークで表した確率モデルです。「Aが起きたとき、次にBが起こる確率はどのくらいか?」といった推論や予測を、コンピュータ上で高精度に行うことができます。
3. ゲーミフィケーション(Gamification)
健康づくりや学習など、一見すると「大変で飽きてしまいがちな活動」の中に、ポイントやレベルアップ、ゲーム的挑戦などの「ゲームの要素」を取り入れる手法です。ユーザーが楽しみながら自然と運動や学習を継続できるように工夫します。
4. ヒューマン・エージェント・インタラクション(Human-Agent Interaction: HAI)
人とAI、あるいは人とロボット(エージェント)との望ましいコミュニケーションや関係性のデザインを研究する学問分野です。単に命令を聞くだけの機械ではなく、親しみやすく、人に寄り添うパートナーとしてAIをデザインするための重要な概念です。

1:人と心を通わせ、健康を支える「対話&見守りAIロボットシステム」

▲ ページ冒頭へ戻る

スマートスピーカーなどの一般的な対話端末は、人間が話しかけない限り応えてくれないことがほとんどです。しかし、私たちが目指すのは、AIの側から自発的に優しく話しかけてくれ、まるで家族や友人のように寄り添ってくれる「知能対話エージェント(Intelligent Dialogue Agent: IDA)」の開発です。

対話エージェントは、強化学習(Reinforcement Learning: RL)を用いて、ユーザー一人ひとりの好みや関心(スポーツ、政治、エンタメなど)を学習します。さらに、最新の自然言語処理技術である「感情分析(Sentiment Analysis)」や文の意味を数値化する「文章分散表現(Distributed Text Representation)」を取り入れることで、ニュースのポジティブ・ネガティブな内容を理解し、過去に話した内容と被らない「新鮮で興味深い話題」をタイムリーに提供します。

また、この対話エージェントは、お部屋に設置された人感センサーや認知機能トレーニングと連携する「包括的介護予防システム(Comprehensive Preventive Care System: CPCS)」の司令塔としても活躍します。日常生活を優しく見守りつつ、楽しいおしゃべりを通じて高齢者の方々の孤立を防ぎ、運動や脳トレへのモチベーションを高める相乗効果を生み出します。


2:ゲームと運動で楽しく転倒予防&認知訓練!「運動一体型ゲーミフィケーション技術」

▲ ページ冒頭へ戻る

認知症の予防や足腰の衰え(転倒)を防ぐには、毎日の適度な運動と脳の活性化が欠かせません。しかし、単調な筋トレや単純な計算ドリルを毎日長く続けるのは大変です。そこで私たちは、「運動」と「ゲーム」を一体化させたシステムを開発しています。

例えば、コミュニケーションロボットと一緒に遊ぶ「だるまさんがころんだ」ゲームでは、ユーザーが椅子に座ったまま足踏み運動をすることで画面上のアバターを動かします。また、最新の「コグニ・パズル(Cogni Puzzle)」では、パソコンやタブレットの内蔵カメラの前で手を左右に広げたり頭上で拍手したりする体の動き(ジェスチャー)で、落ちてくるブロックパズルを回転・消去して遊ぶことができます。

ここでは、AIがユーザーのゲームの熟練度だけでなく、主観的運動強度(Borg Scale)と呼ばれる疲労度や運動の正しさ(膝の高さなど)をリアルタイムで認識します。強化学習(Reinforcement Learning: RL)を活用して、「難しすぎて諦める」「易しすぎて飽きる」ことがないよう、AIがゲームの難易度や運動負荷を自動的に調整します。ゲーミフィケーションの考え方を取り入れることで、無理なく楽しみながら継続できる健康習慣を実現します。


3:ウェアラブル端末とライフログで未病を防ぐ「心身状態の予測・健康支援AI」

▲ ページ冒頭へ戻る

現代社会では、学生・社会人の成績不振や過度な重労働などを要因とした心身の健康状態悪化、高齢者の生活習慣の乱れや転倒・認知症などに起因する要支援・要介護者の増加といった、心身状態に関する様々な問題が深刻化しています。私たちは、不調が表面化する前の「未病」の段階で変化を察知し、未然に体調悪化を防ぐ「心身状態推定システム(Mental-Physical States Estimation System)」の研究を進めています。

このシステムでは、スマートウォッチなどのウェアラブル端末から得られるR-R間隔(R-R Interval: RRI)や睡眠パターンといった生体データ、日々の行動記録(ライフログ)、さらには気温や湿度などの「気象・環境データ」を統合して収集します。

収集されたビッグデータをもとに、確率モデルやAI技術を活用して、「睡眠不足と特定の気候が重なると、2〜3日後に心身の負担が急増する」といった複雑な因果関係を解析します。AIが近未来の体調悪化リスクを予測すると、スマートフォン等を通じて「今日は少し早めに休息をとりましょう」「水分補給と軽いストレッチが効果的です」といった、一人ひとりに最適なアドバイスや通知を届けます。将来的には、利用者が情報入力する手間を極力減らし、装着しているだけで自然に健康が守られる未来を目指しています。


4:AIの「思考」と「適応」を支える数学的基礎「ベイジアンネットワーク&確率モデル」

▲ ページ冒頭へ戻る

現実世界は、「Aが起きれば必ずBになる」という単純なルールばかりではありません。AIが人間社会で賢く安全に判断を下すためには、「不確実な出来事」を考慮しながら確率的に物事を考える力が必要です。私たちの研究室では、AIの「頭脳の基礎」となる数学的モデル「ベイジアンネットワーク(Bayesian Network: BN)」の理論とアルゴリズムの高速化・高精度化の研究に携わっています。

データが巨大化・複雑化すると、計算量が膨大になりAIの処理が止まってしまうという問題が生じます。これに対し、私たちはデータの関係性から無駄な計算を省く「段階的構造学習(Stepwise Structure Learning with Probabilistic Pruning: SSL-Pro)」を開発し、高速にネットワーク構造を構築する技術について研究しています。

さらに、AIが出した予測値が「どれくらい真実に近く、信頼できるか」を統計的に数学保証する「精度保証型確率推論アルゴリズム(Extended-LBPC: Ex-LBPC)」や、環境の変化にロボットが素早く順応できる「ベイジアンネット混合モデル(Mixture of BNs)」など、基礎理論の面でも数々の先進的な成果を上げています。これらの高度な数学的基盤が、介護予防AIや健康予測システムの確実な動作を裏から支えています。


5: 研究室が描く未来の社会


私たちの研究室が取り組む研究は、すべて「人間の幸せと健康な生活」につながっています。
最新のAI技術や数学的モデルは決して難解な技術にとどまらず、人の心に寄り添う対話ロボットになり、楽しく続けられる脳トレゲームになり、日々の体調を優しく見守るヘルスケアシステムとして形になっていきます。

研究室では、工学・情報科学の先端を追求しながら、社会に役立つシステムを自分の手で作り出す情熱を持った学生の皆さんを歓迎します。私たちとともに、AIと人間が笑顔で調和する未来を切り拓いていきましょう!

6: 卒業論文・特別研究論文タイトル一覧

研究内容紹介の最後として、東京高専(および前所属機関以前)で過去に学生が発表した卒業論文、および特別研究論文(修士論文)のタイトルリストを以下のリンク先にリストアップしました。

卒業論文・特別研究論文タイトル一覧 (Updated on 2026.9.21)