平成21年度〜23年度 科学研究費補助金(若手B)研究テーマ
課題番号:21700834 (申請者:北越大輔)
「成績と授業評価データからなる満足度・習熟度関係性モデルを用いた学生への指導法提示」に関するページ


今後の研究計画

 平成21年度までに,
①学生から収集した授業評価・成績アンケートを収集し,授業評価・習熟度関連性モデルを構築すること,および
②構築されたモデルの妥当性検証
を実施し,アンケートで得られた多変量データから成績−授業評価,複数教科間の成績,授業評価の関連性等がBNで表現可能であることを確認した.
 平成22年度,23年度では,これまでに得られた成果をもとに,主に以下の3点を目標として研究を進めていく.

  1. 構築された授業評価・習熟度関連性モデルを用いた利用者(教員)に対して有効な指導法提示支援の方法を検討
  2. 指導法提示支援により適したアンケート項目についてさらなる調査を実施し,必要に応じて項目を修正
  3. 提案システムを用いた指導法提示支援法の評価

 教員が提案システムを利用する場合の操作の流れを以下に示す.

 具体的には,
(1) システムに「知りたい項目」(例:数学の得点を上げるためにはどのような要素が必要か,等)を入力として与える.
(2) システムがモデル上で確率推論を行う.
(3) その結果を利用して,「知りたい項目」に対する適切な「指導法」を出力する.
という手順となるが,特に(2)において,「どのような項目を対象として推論を行うべきか」,また,(3)において「どのような内容をどのような形式で利用者へ提示すべきか」が今後の重要な検討項目となる.

 前述の通り,21年度までに収集してきたアンケートの結果を吟味するとともに,アンケートの質問項目が提案システムでの利用に適しているかを考察する必要もある.提案システムには今後,ある学生の現在の特徴(科目Aの成績が悪い,科目Bに対する評価が高い,等)をもとに,今後起こり得る状況を予測したり,特定の特徴を有するに至った原因を過去に遡って分析する機能を付与する予定である.
 従って,アンケート項目の検討とともに,収集したデータをモデル化する際にどのように取り扱っていくかについても併せて調査していく必要がある.

 提案システムにおける授業評価・習熟度関連性モデルの情報表現能力を向上する方法は既にいくつか提案されている.一例として,モデルを構成するBNを複数(例:同一学年のモデルを複数年度分)用意し,それらを線形混合することによって多様な情報を表現可能とするアプローチが挙げられる.加えて,申請者が以前採択された科研費研究テーマ(若手研究(B) 課題番号19700138)において導入した指数型混合モデルを採用することにより,線形混合と比較してはるかに広範な情報表現が可能となるため,提案システムへ導入することで,多様な状況に対応可能なより高精度の確率推論が実現できる.

 冒頭で述べた通り,Faculty Development(FD)に関する研究は近年さらに活発となっており,ある特定の科目に特化して,その科目の学習法を改良しようとするアプローチは少なからず提案されている.しかしながら,授業を受ける側の学生の評価や,他の教科との関連性にも注目しながら対象教科の指導法改善を図ろうとする研究については,まだ十分に研究が進んでいないものと思われる.
 残り2年間の研究期間のうちに,確率モデルを用いた指導法提示支援システムの基盤を築き上げるとともに,実用化の可能性についても模索していく.助成研究期間終了後も引き続き当該テーマに関する研究に取り組んでいく所存である.


参考資料(学生が研究発表用に作成したポスター:PDF)


発表など


「研究背景・目的」
「実施方法と現在までの成果」