国立東京工業高等専門学校 シラバス 国立東京工業高等専門学校トップページへ戻る シラバス 閲覧戻る
教科目名
通信伝送工学
Telecommunication and Transmission Engineering
担 当 教 官 小池 清之
学年、学科等 2年 専攻科電気電子専攻 通常講義
単位数 期間 選択 2 単位 前期 週2時間 (合計 30 時間)
授業の目標と概要
通信伝送システムにおける通信伝送を理解することを目標とする.そのために,フーリエ変換を中心とした信号波の解
析,不規則信号の取り扱い,通信システムに使用される伝送媒体の特性,回路や機器の性質,伝送システムの構成と
特徴について講義を行う.
カリキュラムにおける位置づけ
フーリエ解析,線形代数,統計数学などの数学科目について理解していることが前提となる.通信工学,無線工学,
信号処理工学などの専門科目も前提となるが,項目を絞り内容を掘り下げる.履修後には,通信伝送システムの構成
その要素について概説できると共に,技術的なボトルネックとその克服技術を説明できるようになることを求める.
授業の内容 時間
1.概要 2
 ・通信用伝送技術・メディアの変遷
 ・通信伝送で重要なこと D/UとBER,高速性と帯域
2.信号波解析の基礎 6
 ・波形解析 フーリエ変換の定義
 ・伝送系の特性 f特と実時間波形
 ・インパルス応答とデルタ関数の性質
 ・”1”,”0”の伝送と孤立パルスとの関係
 ・データ列伝送と符号間干渉
 ・アイパターン・タイミング再生・フレーム同期
 ・インパルス列の性質・フーリエ変換
 ・標本化定理
3.伝送システムの構成とその要素 4
 ・ディジタル伝送のシステムモデル 基底帯域伝送・帯域伝送
 ・ディジタル変調・復調,ベースバンド信号処理の必要性
4.ディジタル変復調 6
 ・変調波の発生 直交変調の原理
 ・BPSK,QPSK,差動QPSK,π/4シフトDQPSK,他近年話題の変調方式
 ・ベースバンド帯域制限 コサインロールオフ
 ・上記のシステムモデル
 ・ディジタル復調 I,Qを取り出す
 ・同期検波,遅延検波,直接位相量子化ベースバンド遅延検波
 ・受信機の構成 スーパヘテロダイン
 ・受信機のレベルダイヤグラム
 ・C/N比を決定する最重要要素 初段LNAのNF
 ・復調器の所要C/Nと受信感度
 ・復調器の一般的BER特性
 ・理論限界(シャノン限界)の存在
5.雑音の性質・解析法 4
 ・確率密度関数・分布関数の定義
 ・ガウス分布(正規分布)について
・雑音を伴う信号波形と誤り率の関係
 ・雑音のパワーと確率密度関数の分散との関係
 ・ベースバンドでの雑音の取り扱い
 ・帯域伝送での雑音の取り扱い
 ・BPSKのS/N,C/N,Eb/No,ビット誤り
 ・QPSKのS/N,C/N,Eb/No,ビット誤り,シンボル誤り

(続き)
教科目名
通信伝送工学
Telecommunication and Transmission Engineering
授業の内容 時間
 ・実際のシステムでのBER評価,シミュレーション,ランダムビット列
・その他各種変調方式と誤り率の関係 4
6.信号検出理論
 ・雑音を考慮した帯域制限のあり方 最適フィルタ
 ・送受信のフィルタ ルートコサインロールオフによる配分 3
7.誤り制御技術 
 ・誤り訂正 ARQとFEC
 ・ブロック符号,たたみ込み符号、誤訂正
 ・帯域増に対する工夫 符号化変調
 ・誤り訂正の最先端 硬判定復号から軟判定復号へ
 ・ターボ符号 シャノン限界に接近
 ・LDPC 実用上注目
前期末試験 1
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
教科書
必要に応じてプリントを配布
補助教科書
「ディジタル無線通信の変復調」斎藤洋一著,電子情報通信学会,「RFワールドNo.23」CQ出版
履修上の注意
フーリエ解析,線形代数,統計数学などの数学科目の他,通信工学,無線工学,信号処理工学などの専門科目の内容をよく理解しておくこと.本シラバスに記載されている項目は学修内容のキーワードでもあるので事前に自学自習により予習して授業に臨み,授業後も復習して学修に努めること.
評価基準
授業項目に沿った内容を問う試験問題(100点満点)を設定し,その採点結果により評価する.
評価法
定期試験100%
学習・教育目標 東京高専
C-6
JABEE
(d)