国立東京工業高等専門学校 シラバス 国立東京工業高等専門学校トップページへ戻る シラバス 閲覧戻る
教科目名
ものづくり基礎工学
Fundamental Engineering Laboratory
担 当 教 官 各学科担当教員
学年、学科等 1年 専門共通 実験
単位数 期間 必修 5 単位 通期 週5時間 (合計 150 時間)
授業の目標と概要
(1)産業界で活躍できる技術者となるため、幅広い分野(機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、物質工学)に渡
る基礎実験を体験学習し、ものづくりマインドを養う。
(2)実験体験を通じ、物理現象や技術に対する関心を一層深め、2年次以降の専門科目とのつながりを理解する。
(3)実験を通して、技術者として必要な実験に取組む姿勢、安全への対応、その他のマナーを身につける。
カリキュラムにおける位置づけ
 「ものづくり基礎工学」では、中学校の理科・数学の教育課程に配慮して、早く工業高専らしい実験姿勢を修得す
るため、幅広い技術分野の基礎を体験重視型教育を実施している。本科目は、1年生全員を対象とし、体験学習的に専
門的な物理現象を理解し、技術の素晴らしさを理解出来るように教授法を工夫した専門導入教育として位置づける。
授業の内容
【機械工学分野】
 機械工学で求められる物を設計(考案、デザイン)、製図(表現)、製作(実現)する過程の内の製作(実現)の実習を
する。ものづくり教育センターにおいて、
(1)「旋盤」による四輪車模型の部品製作
 アルミ丸棒から四輪車模型の部品である4つのタイヤを旋盤で加工する。
(2)「仕上げ」による四輪車模型の部品製作
 アルミブロックに卓上ボール盤で穴あけする。車軸とタイヤにねじを切る。
(3)「CAD/CAM」による「キーホルダー」製作
 アルミ板に描く図案や文字列を自分で考案し、CADで作図し、そのデータを使用してCAMによって、マシニングセン
ター等のNC工作機械を使用して、キーホルダーを製作する。
(4)「鋳造」による「表札」製作
 自分のデザインした表札用の文字や絵を半田ごてを用いてスチレンボード上に描いたものを用いて砂による鋳型を
作成し、溶解したアルミニウムを鋳込んで、冷却後に取り出して、表札を完成させる。
(5) 「四輪車模型」到達距離コンテストと発表会
 「四輪車模型」を組み立てて、坂を下らせた際の到達距離を競うコンテストを実施し、その結果に対してグループ
討議したものをクラス内で発表する。
【電気工学分野】
 電気工学の基本事項に関連した以下の体験学習を行う。
(1)ハンダづけによる電子工作(2回)
 テスタ及びマイコンボードを製作し、ハンダづけを利用した電子工作を体験する。また、製作したテスタを用いて
電流、電圧、抵抗の測定を行う。
(2)PICマイコンを用いた電子工作(2回)
 PICマイコンを用いたLED点滅実験を通して、基本的なプログラミング技術、ブレッドボードを用いた電子回路の
組立て方法について学ぶ。
(3)太陽電池の特性測定(1回)
 太陽電池の特性測定を通じ、太陽電池の性質を理解するととも測定結果の整理方法(グラフの書き方等)を学ぶ。
【電子工学分野】
 電子工学の基礎として直流回路の法則、電子デバイスの仕組みを学びながら、基本的な電子計測技術、測定結果の
整理方法(グラフの書き方等)を修得する。次の5項目について各種計測機器に触れながら体験学習する。
(1)直流回路の性質
 直流回路の法則を学び、抵抗や電圧降下の測定法を修得する。電流の測定方法、直列回路の電圧降下測定法、ダイ
オードの性質を理解する。
(2)光エレクトロニクス
 ものづくり体験や光通信実験を通じ、光エレクトロニクスの基礎を学ぶ。 
(3)電流と磁界の相互作用

(続き)
教科目名
ものづくり基礎工学
Fundamental Engineering Laboratory
授業の内容
フレミングの左手の法則、電磁力の考え方、電流・磁界の相互作用を理解する。
(4)電波と通信のしくみ
 ラジオ放送の仕組みを学び、電波の性質を理解する。
(5)増幅のしくみ
 増幅回路の仕組み、演算増幅回路の基礎を理解する。
【情報工学分野】
 情報工学の基本的な技術の中から、主にプログラミングを採り上げる。コンピュータグラフィックス(CG)及びマ
イクロコンピュータ(マイコン)を題材として、プログラミングを通じたものづくりを体験すると共に、プログラミ
ング一般に通じる考え方を修得する。
(1)プログラミングの基本
 CGを題材として、プログラミングの基本となる考え方について学ぶ。
(2)動きのあるグラフィックス
 条件判断と変数の利用により、動きのあるCGのプログラムを作成する。
(3)表示装置とスイッチの利用
 マイコンを用いて、組込機器用のプログラミングを体験する。
(4)センサの利用とモータの制御
 ロボコンを想定して、モータを制御するプログラミングを体験する。
(5)音の波形と分析
 実際に録音した音の波形やスペクトルの観測と測定を通じて、信号処理の一端に触れる。
【物質工学分野】
基本的な化学的知識や考え方を理解するために、物質の生成、化学反応を体験する。また日常生活にも化学が密接に
結びついていることを実験を通して理解し、その原理を追求する。
(1)物質の分離と精製
 基礎的な実験器具の使い方を学ぶ。ろ過、蒸留、再結晶、抽出などの実験を行う。
(2)物質の変化と反応
 液体窒素を使って物質の状態変化を体験する。また金属が関係する化学変化を観察する。
(3)コンピュータ化学/COD測定/生物の観察
 コンピュータを使って分子モデリングや食物連鎖のシミュレーションを行う。またCOD測定により、水質調査の方法
を学ぶ。更に、光学顕微鏡を使って生物の観察方法を学習する。
(4)酸塩基と中和反応
 pHに関する簡単な実験を行う。中和滴定により酸の濃度を求めたり、滴定曲線を作成する。
(5)酸化還元反応
 銀鏡反応、燃料電池などの酸化還元反応を体験する。また滴定により溶液中のビタミンCの定量を行う。
 
 
 
 
 
 
教科書
製本テキスト、プリント等。
補助教科書
履修上の注意
「ものづくり基礎工学」ガイダンス資料を事前に十分熟読しておくこと。
評価基準
ものづくり、科学技術への興味を持って、高専での勉強に取り組む意欲を持つことができ、同時に、基礎的な実験技術を身につけ使うことができること。但し、レポート未提出の場合は不合格とする。
評価法
レポートなど80%,製作物、その他20%
学習・教育目標 東京高専
B-2,C-4,C-7,C-8,C-13
JABEE
(c)(d)(f)