Q 普通の高校への進学と比べるとどこが違いますか。

A 中学を卒業し入学した生徒は、高校でも「生徒」と呼びますが高専では「学生」と呼びます。高校に比べて自主性を求める大人扱いをします。例えば、服装は節度さえ守れば自由です。教員も高校では「教諭」と呼びますが、高専では大学と同様に「教授、助教授、講師、助手」と呼びます。これは、高専が研究機能を持った高等教育機関のひとつとして位置づけられており、教員は教育だけでなく研究も行っているからです。


Q そうすると、高専では自由放任主義なのですか

A そのようなことはありません。自主性は尊重しますが、高校と同様に3年生以下には学級担任もおり、複数の教員で生活指導や学習態度のフォローもきちんと行っています。4年生以上になると、担任に相当する学級指導教員が進路・学習・生活などの指導を引き続き行いますが、大学生相当の年齢ですから、3年生以下と比べると自主性が尊重されます。


Q 東京高専から大学への編入について説明してください

A 最近、進学を希望する学生の比率が増加する傾向が増える傾向がありますが、大学編入を希望するほとんどの学生が国公立大学に合格し、進学しています(なお、進学希望か就職希望かと高専の成績とは、直接関係ありません)。進学する場合も、学校の授業をキチンと勉強していれば、予備校や塾通いする学生はほとんどいません。浪人する学生もほとんどいなく、大半は5年の前期中に進学先を決めています。進学希望者に対する国公立大学進学成功率は、進学高校から大学進学と比較してもきわめて高くなっています。大学に編入後も一般に優秀な成績を修めています。これは、大学受験などで余計な神経をすり減らすより、伸び伸びと本当に必要な技術・知識を高専時代に身につけて実力を蓄えたことが、後になって生きるからです。大学側もこの実績を認識してこのような教育を受けてきた学生を歓迎するようになり、積極的に編入枠を拡大してきたのが、進学実績に現れてきています。また、専攻科では少人数教育でみっちり勉強や研究実績を挙げ、大学院に進学するコースも用意されています。


Q 情報工学だからソフトウェアの勉強さえできれば良いと思うのに、どうしてハードウェア系の科目も多くあるのですか

A 卒業後、ソフトウェア関連業務に就く人も、ハードウェアの基礎知識がある人とない人では大きな差が出てきます。また、最初は単なるプログラムコーディングの仕事から出発しても、システム全体の知識が要求されるシステムエンジニアなど高度な仕事につかなくてはなりません。一見して古臭く将来必要とすることはないと思う技術をどうして教わるのだうと、疑問に持つ科目もあるでしょうが、明日役に立つ技術だけでなく、将来新しい技術が出てきても柔軟に吸収できるだけの基礎能力も身につけるためには、必要な技術だからです。


Q 情報工学科に向かない人はいますか

A 文化系の勉強をしたい人、または文化系か理科系か迷っている人は中学の成績が良くても高専には向かないので、進学はお勧めできません。本校本学科は、工学系ですから、この分野に進むと決心した人のみが来てください。数学・物理・工学実験などの科目が多く、文化系志望の人では授業が苦痛となります。しかし、この分野に向いていると思って入学したが、結果的に向いていないと気がついた人は、3年修了で高校卒の資格を得て大学受験に転進するとか、高専卒業後文化系学部に編入学するなどの手段は残されています(経済学部、農学部、文学部編入学の例があります)。


ゲームソフトが好きで、ゲームを作りたいからとかCGデザイナーになりたいから情報工学科を志望するという人が時々いますが、このような業務で表に表れるデザインに携わる人は情報の知識のみならず、芸術的センスも要求されます。情報工学科から、これらの分野に進んでいる実績は、ほとんどないことを申し添えておきます。世の中の人に役立つシステムを設計する喜びというものは、このような表面的なものだけでなく、幅広くあります。それは中学生の皆さんではまだ理解できないかもしれませんが、人生経験を積むとそのうちにわかってきます。