創成型工学教育プログラム概要


1.創成型工学教育プログラム概要

 今日、産業技術のあらゆる分野において国際化、融合化・複合化が急ピッチで進展しています。そのために、境界領域に関心を持ち、独創的なシステムをデザインできる、国際感覚豊な、ものづくりを志向する技術者が求められています。本校専攻科設立時のコンセプトが、まさに国際性をもち、複合・融合分野に対応できる、ものづくり志向の技術者の育成でした。そこで本校では、主として本科4年次から専攻科2年次までの4年間に相当する学習・教育に対し、一貫した教育プログラムとして「創成型工学教育プログラム(Interdisciplinary Engineering)」を設定し、平成18年度から日本技術者教育認定機構(JABEE)より認定を受け、国際的に通用するプロフェッショナルエンジニア(Professional Engineer)の教育プログラムとして認められています。

 「ものづくり」に必要とされる融合複合とは、一つの核(コア)となる分野で基礎学力を培った人が、その上で、これとは異なる分野で基礎学力を培った人々と共同、共創することによって達成される技術領域を融合複合領域と位置づけています。
よって、本教育プログラムでは一つの融合化または複合化された専門領域を学ぶことではなく、異なる分野の人と共同及び共創するのに必要な知識・能力を身につけることにあります。この知識は決して高度な学問及び、先端的な技術ではなく、異分野の基礎知識・技術です。例えば、異分野の高度な専門的知識・技術を理解することから始めると、非常に難しいことになりますが、異分野の基本的な知識・技術に一度戻って考えることで、容易に理解することができます。この考えから本教育プログラムでは、他分野への橋渡しとなれる基礎学力を培い、将来、自分のコア分野と他分野を融合できる素地(能力)をつくることにあります。すなわち、「ものづくりにおけるシステム創成能力」が融合複合能力と等価であり、絶えず変化するものづくりの現場においては、ある融合化された領域のみを学ぶことでは対応できず、新しい価値創造に向けた知識・技術を考える融合複合能力を持つことが重要です。

 本教育プログラムでは、本科4、5年次で一つのコアとなる専門分野の基礎を深く学びます。さらに、専攻科1、2年次では一つのコア専門分野を高度化させるのと同時に、一つの学問体系を深く身につけます。また、融合複合能力の素地を身につけるために「専門共通科目」で
他分野の工学基礎知識を学びます。さらに、「特別演習」、「特別実験」、「特別研究」などでの共同・共創作業や議論を通じて、融合複合能力の知識と経験を有機的に身につける教育プログラムとなっています。